おやつなのか朝食なのか?
昨日は帯広6:46発の《スーパーとかち2号》に乗って札幌へ向かった。
列車に乗り込む前に駅のコンビニでエビアンを買った。
私の前では台湾か韓国か、はたまたどこの国かはよくわからないが、とにかく日本人にそっくりだけど衣装がどことなく違うアジア系の女の子2人が会計中で、レジの横のホットケースを指さしてピザまんと肉まんを買おうとしていた。しかし、レジの女性からは彼女たちが指さしている商品がよく見えず、かといってお互い言葉が通じないので、その2個が無事彼女たちの手に渡るまでに時間がかかった。
私はペットボトルを1本持ってじっと待っていたが-それ以外何ができるというのだろう。せいぜい、自分の番が来たらつられて「肉まん1つ」と言うことぐらいしかできない-、私の後ろに並んでいたオバサンが隣のレジの列に移ろうとして、でもそのオバサンからは死角になっていただけで、隣は隣で吟味するように1円玉を1枚ずつ財布から取り出しているオジサンがいて、その後ろにはうつろな目をして並んでいる中年のこれまたオジサンが並んでいて、結局また私の後ろに戻って来た。
私は「急がば回れ」と心の中でつぶやいた。
彼らの目指す場所
列車に乗り込むと、ピザ&肉まんの2人組も同じ車両にいた。
私の斜め2つ前の座席で、大きなスーツケースをこともなげに荷棚に上げていた。
列車は定刻に発車。
この列車を私はよく使う。どうせ早起きだから、苦にならない。
早い時間に移動した方が時間を得した気分になる。いや、気分だけでなく実際に得になるに違いない。
車内は空いていたが、平日に利用するときよりは乗っていた。
でも、隣の席は空いていて、それはいつものことだが、快適だ。
途中、芽室、十勝清水、新得で1人、2人乗って来た。
ところがトマムに着くと、ホームには大勢の客が。
そして、この車両にも乗り込んできた。
このとき7時40分。
いくつかの団体御一行様のようだが、こんなに早い時間にもう移動することに驚いた。
私が乗っている車両に乗り込んで来た10人ほどは、全員が私の知らない言葉で静かとは言えない会話をしながら、隣の自由席車両に躊躇することなく進んで行った。
この車両じゃなくて、内心ほっとした。
団体旅行なのに指定席じゃないのが不思議だったが、外国人観光客にもかかわらず迷いもせずに自分たちが行くべきところを完璧に理解していることに感心した。
女一人旅か?余計な詮索だが
が、1人だけこの車両にとどまった者がいた。
すぐには気づかなかったが、それは若い女性。黒ぶちの眼鏡をかけた20歳ぐらいのかわいらしい女の子だった。
列車がトマム駅を出たあとにデッキにゴミを捨てに行くために立ったときに、その女の子が私の真後ろの席にいるのがわかったのだ。
大きなスーツケースを通路側の席の前に置き、本を読むでも車窓からの景色を眺めるでもなく、その女の子はじっと私が座っているシートの背を見ていた。
1人でトマムに旅行に来たのだろうか?
いまの状況からはそう考える方が妥当だ。
日本人だろうか?
それはわからない。
彼女は立ちあがった私を一瞥したが、それは機嫌の悪い猫のような表情だった。
そんな目で見られる筋合いはないと思ったが、まあいい。
私は空になったエビアンのボトルを捨てに行き、トイレに寄った。
その子は南千歳で降りた。
これじゃあ部屋が暗いわけだ
自宅の最寄りの駅に着いて歩いて家に向かう途中、私は道沿いの家の屋根や車庫をチェックした。
雪がどのくらい積もっているか覚悟するためだった。
予想していたより積雪量は多くないように思った。
が、家の前に着き、そう甘くないことを悟った。
玄関前は大量のグラニュ糖を運び込み均一にならしたようになっており、その下は氷砂糖のようになっていた。気温が高い日が続いたようで、日中に溶け夜中に凍るということが繰り返されたせいだ。当然、硬くて重い。
カーポートの屋根は雪下ろしをしなきゃならないかどうか微妙なところだった。
50cmほど積もっていたが、強度的には150cmまで耐える構造になっている。問題は、どのような雪なら150cmまで耐えるのかということだ。粉雪なら大丈夫だがべた雪なら半分の75cmが限界かもしれない。そして今は、明らかにかなり密度が高い締まった、つまり空気含有量の少ない重い雪になっているはずだ。 家に入り、2階に行くと11時だというのに部屋が薄暗い。
窓を見て驚いた。
ベランダの雪が信じられないほどの量になっている。
やれやれ、やれやれ、やれやれ……
こうなったら何よりもベランダの雪下ろしが最優先だ。
窓ガラスが割れたら一大事だ。
しかし、これだけの量の雪をすべて落とすことは困難であることはわかっていた。落としたところでそれを捨てる場所がすでにないのだ。
全体的に30cm分ほど、ただし窓に接する部分は下まで雪を除けた。それだけでも十分な運動量だった。頭から汗が滴り落るほどだった。
次に玄関周辺の雪かきと物置まで道をつけることに取り組んだ。
ベランダの雪と同じように硬い雪で、仕事ははかどらなかった。
カーポートの屋根にたまった水を地面に流す樋(とい)を見ると、小便小僧の小便のようにちょろちょろと水が流れ出ていた。
けっこう雪が融けているということだ。
その水を換算するとどれぐらいの積雪量に匹敵するのかわからないが、間違いなく融雪進行中だ。
無理はよそう。カーポートの屋根の雪下ろしは止めることにした。
というよりも、もう限界だった。
腕はだるさの極致だったし、腰もギシギシと痛んだ。ただでさえふだんから速い脈拍は制御不能のメトロノームのように速打ちし、ふくらはぎがつりそうになった。
雪かきのスコップはすこしひび割れが入り、私の腰と同じようにギシギシという悲鳴を上げた。この次あたりはパリンと割れて過酷な労働から解放されることになるかもしれない。
2時間の音楽鑑賞時間……
ベランダに出てから息を切らして家に入るまでの間、ウォークマンで聴いた曲は3曲と半分。
ガーディナーがイングリッシュ・バロック・ソロイスツを振った、モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart 1756-91 オーストリア)の交響曲第36番ハ長調K.425「リンツ(Linz)」(1783)と交響曲第38番ニ長調K.504「プラハ(Prag)」(1786)。
それからニールセン(Carl August Nielsen 1865-1931)の交響曲第3番ニ短調Op.27「ひろがりの交響曲(または、おおらかな交響曲。Sinfonia espansiva)」(1910-11)と交響曲第4番Op.29「不滅(または、滅ぼし得ざるもの。Det undslukkelige)」(1914-16)の前半2楽章。
だいたい2時間だ。
2時間と書いてしまうと「たった2時間か。根性なしめ!」と感じるかもしれないが、私にとってはそれはそれは過酷な2時間だったのだ。
モーツァルトの「リンツ」と「プラハ」は、モーツァルトらしく明るく健康的だが、大人の雰囲気も漂う優雅な作品だ。そしてガーディナーの演奏はピリオド演奏ながらもあまりギスギスしない穏やかなものだ(1988年録音。デッカ(TOWER RECORDS UNIVERSAL VINTAGE COLLECTION +plus))。
が、ヒーヒー言いながら肉体労働をしていると、こういう音楽は想像以上に心に入り込んで来ないことがわかった。 その点、ニールセンの第3交響曲だと、そのどこか座りの悪いスツールのような不安定さがなんとなく作業に合っていた。ベートーヴェンの「英雄」(交響曲第3番)を思わせる出だしだが、そのあとは現代吹奏楽曲の「何とかダンス」なんかを彷彿とさせるちょっと斬新というか、きちんと噛み合っていないボルトとナットのような歪みがおもしろい。自分の体も歪み始めていたし。
「ひろがりの交響曲」のタイトルは第1楽章の発想記号である「アレグロ・エスパンシヴォ」からとられた「エスパンシヴァ」による。
4楽章構成だが、第2楽章では舞台裏からバリトンとソプラノが歌詞のない歌を歌う。この楽章はとても牧歌的である。声楽パートはトロンボーンとクラリネットで代替可能となっているが、やはり人声が勝る。
家に入り冷蔵庫を開けると、濃縮還元果汁100%のバヤリース・アップルジュースが入っていた。
ふだんはこういうものを飲むことはないが、このときは無性に魅かれた。そしてその缶ジュースを一気に飲んだ。
すごく美味しかった。もしかすると体が糖分を求めていたのかもしれない。
あるいは朝JRの中で読んだ本に、農場で実ったリンゴをすべて自分のものにする豚の話があったせいかもしれない。
ニールセンの交響曲第3番では、ボストック指揮ロイヤル・リヴァプール・フィルのCDを紹介しておく。
ハス-ザイセンのソプラノ、ルンドのテノール。
また、第2楽章の別稿(声楽なし)の演奏も収められており、こちらはコックスのクラリネット、プライスのトロンボーンである。
2000年録音。membrane。
雪は不滅じゃなく、春には融けるんだけど、放置できないからな……
プロフィール
MUUSAN
クラシック音楽、バラ、そして60歳代の平凡ながらもちょっぴり刺激的な日々について、「読後充実度 84ppm のお話」と「新・読後充実度 84ppm のお話」の2つのサイトで北海道江別市から発信している日記的ブログ。どの記事も内容の薄さと乏しさという点ではひそかな自信あり。
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2時間限界説、心強く思います。
うーん、ユミヨシさんほどイイ感じじゃなかったです。