
今年の8月、私はその前半はずっと北海道に滞在していた。
出張数日、あとは夏休みだの盆休だのである。
そして大阪に戻ってみると、その間にこの街は100年も過ぎ去っていた、ってことがあるわけもなく、予想していた通り干ばつ状態に置かれたオリーブの木が、今日は10枚、明日は8枚ってな具合で、嫌がらせのように葉を床に落とした。
いったんおおかたの水分を失った《半押し葉》状態の葉が再生することはない。あとはいつ重力に耐えられなくなるかだけだ。
しかも、この鉢植えを名古屋で買ったときから気になっていたのだが、この木は枝ぶりが悪い(幹の高さの中央あたりに枝がない)。
そこで思い切って根元近くで切り詰めたのだった。なお、この部屋には剪定ばさみがないので、でもふつうのはさみでは切れないので、ニッパで切り離した。
この間の日曜日、ほぼ1週間ぶりに-と書くと、たいていは1週間弱だが、今回の私の場合は1週間強の期間であった-大阪の《寓居》に戻ると、すっかりちび助になってしまったオリーブは、落とす葉もないので落葉はしていなかった。

そこには驚くべき光景が!
遁走曲ト短調「小遁走曲」
なんと、新たな葉が出てきているではないか!
まるで山火事のあとの焼け野原の木が息吹き始めたかのように……
その蒼々しい葉は、温室のようにくそ暑く温度が上がりきっている部屋の中ででも、一瞬ではあるが私の気持ちをさわやかなものにした。
ほとんど葉がない状態だったので、1週間強にわたって水が与えられなくても、蒸散がほとんどなかったためにお元気になっちゃったんだろう。
が、次回は正月休み中に再び干ばつに見舞われる恐れがひじょうに強いわけである。
ところでタイトルに書いたようにオリーブの場合は、和名もオリーブである。
音楽でシンフォニーは交響曲、コンチェルトは協奏曲という和名というか和訳が使われていて、このあたりは違和感はないが、たとえばフーガの日本語訳は遁走曲である。
でも、フーガはそのままフーガと呼ばれていることに、私はなんとなくほっとするのである。

俗に「小フーガ」と呼ばれている、有名な曲である。
ここではオルガンによる原曲ではなく、ストコフスキーの編曲による管弦楽版を(関心はないだろうが、私がこの曲を最初に聴いたときも、オリジナルではなくストコフスキー版だった)。
ネゼ=セガン/フィラデルフィア管弦楽団による演奏で。
2013年録音。グラモフォン。
で、あのサボテンは、引き続き元気である(上の写真。ただしこれは9月1日撮影)。