皮をむく前の銀杏に見えなくもない
子どものころ、節分が近づくと「豆まきにっ!ピィ~ナッツゥー・ト~リオっ!」というコマーシャルが毎日流れていた。
たぶん時間帯は「巨人の星」や「タイガーマスク」、「奥さまは魔女」の再(々々……)放送をやっていた夕方だったと思う。
いまは夕方といえば報道番組をやっている局が多いが、むかしは再放送の子ども向けアワーだった(その前の時間帯は「水戸黄門」などの時代劇が再(々々……)放送のシルバーアワーだった)。
日曜日の朝だって「名犬ラッシー」とか「じゃじゃ馬億万長者」が放送されていた。
それはそうと、「ピーナッツ・トリオ」とは何か?
「うぐいす豆」「えびす豆」「ぎんなん揚げ」である。
ついでに言うと、私は長い間「ぎんなん揚げ」のことを「ぎんなん豆」だと間違って覚えていた。
これらはすべて豆菓子。中にピーナッツが入っている。
「うぐいす豆」は緑色のコーティングの上にさらに砂糖がまだら模様についていた。赤茶色の「えびす豆」はちょいと辛めのしょうゆ味(私はこの豆の“外側”だけを好んで食べた)。「ぎんなん揚げ」は薄茶色の塩味のものだった。
そして、節分時期になるとおまけで鬼のお面がついてきた。
私をはじめとする北海道人は、豆まきといえばこれらをまくものだと信じて疑わなかった。だってコマーシャルでそう言っているわけだし、ご丁寧にも豆まきには欠かせない鬼のお面までいただけるのだ。
のちにいい大人になってから、豆まきというものは大豆をまくものだと知ったときの驚きを、あなたはわかってくれるだろうか?
「ピーナッツ・トリオ」を製造・販売していたのは小樽市の池田製菓。
池田バンビのブランド名で知られ、ミルクキャラメルが有名だった。
2003年に倒産し、株式会社「北海道村」というところに菓子事業を譲渡したという。
札幌にある池田食品とは関係ないようだ。
定番の鮭、梅、かつおの姿なし
さて、なぜこのくそ暑いときに節分の話なのか?
実はこのあいだ昼ごはん用にローソンで買った弁当が「おにぎりトリオ」という名前で、それで「ピーナッツ・トリオ」を思い出してしまったのだ。
なに、見えにくい?
ほうら、ヴェールをはいじゃうわよ!
「おにぎりトリオ」は「塩むすび」と甲乙つけがたいものがある。
が、ボリュームがあるのとちょっと貧乏ったらしいところから-あの塗りたくったようなツナマヨ、明太子、昆布を見よ!-、私はあえて「トリオ」に軍配をあげたい。具が入っていないおにぎりは好きじゃないし。
もっとも、お値段もトリオの方が上なんだけど……(って、甲乙つけてるじゃん)
地名を指しているのかどうかは私には不明
「おにぎりトリオ」には細いちくわ天(ちくわの磯部揚げ)が入っていたが、今日はブリテン(Benjamin Britten 1913-76 イギリス)の「ウィールデン・トリオ(A Wealden trio)」(1929/改訂1967)。
女声のための無伴奏合唱曲で、この場合はウィールデンが3つ、ということではなく、ウィールデンの三重唱ってこと。詞はF.M.フォード。
じゃあウィールデンって何かというと、wealdenだと“広野”の意味だが、“The Wealden”なら南イングランドのもと森林だった地域のことになる。
この場合、どっちなんだろう?下のナクソスのページでは「広野の三重唱」という邦題になっている。
まっ、どっちでも大勢に影響はないけど。
私が持っているのは、コープ/新ロンドン少年合唱団の演奏のCD。
1994年録音。ナクソス。
この曲には「女声のためのクリスマス・ソング」という副題がある。
節分だのクリスマスだのって、まったくもって季節感がなくてごめん、である。