PoulencBabar  不安とイライラ
 昨日の昼過ぎのANA便で無事、札幌へ戻ってくることができた。

 おとといの7日。北海道や東北は猛烈な冬の嵐に襲われた(とテレビで言っていた)。しかも、「明日も猛烈に吹雪く」とも言っていた。
 またネットで飛行機の運行状況を調べてみると、羽田⇒千歳便は新千歳空港に14時以降に到着する予定のものが、ことごとく欠航。それも単なる欠航ではなくて、羽田に引き返して欠航という便が多かった。

 これらを観ながら、私は当然のこととして「明日は大丈夫だろうか」と不安にかられ、はらはらし、いらいらもした。ニュースの映像はこの日の札幌のひどい状況を映し出していたが、「明日も荒れるところがあるでしょう」というのは札幌や千歳のことを言っているのか、それとも映像は今日の札幌のものではあるが、明日荒れる場所は移動するのか、その点がよくわからない。
 そのあたりがよくない噂のように、不安、困惑、いらいらを喚起するわけだ。

 今回私と同じ目的で東京へ行っている人たちも同じではあるのだが、9日は午前中から札幌で会議がある。なんとしても飛行機が飛んでくれないと困る。さらに私にはそのあと別件の打ち合わせがある上に、2ヶ月に1度の病院訪問という重要な行事を控えている。この行事の予約時間に間に合わなければ、ヤクが切れてしまうのだ。

 翌朝。つまり昨日の朝。
 ANAのホームページで運行状況を調べると、頼もしいことに今日は全便根性かけて飛ばすという意気込みが感じられた。
 が、一方でTVのニュースでは本日も大荒れと言っている。
 さらに6時半ころにANAから携帯にメールが入り、その内容は、たんに「おはようございます」というものではなく、私が乗る予定の便が飛ぶかどうか、13時過ぎに天候調査を行なうというものだった。
 そんな悶々とした状況でホテルをチェックアウトし、午前の用務をこなすべく目的地へ向かった。

  なかなか考えられた収録配置
 サティ(Erik Satie 1866-1925 フランス)のピアノ曲「ヴェクサシオン(Vexations)」。
 ヴェクサシオンの意味は「いらだち」とか「いやがらせ」。

 この曲はサティの弟子R.キャビーが発見したサティの3つの遺作の1つ。1893年ころの作と考えれている。
 キャビーはこの3曲を「神秘的なページ(Pages mystiques)」として1969年に出版した。
 「ヴェクサシオン」は3曲の中の第2曲で、第1曲は「祈り(Priere)」、第3曲はハーモニー(Harmonies)」。

 ヴェクサシオンは1分ほどの短い曲だが、これを840回繰り返すよう指示されている。つまり単純に計算しても14時間以上要することになる。

 ほの暗い、まぁ~たりしたこの曲を指示通りの演奏で聴くと、聴き手は異常をきたすに違いない。

 今日はルイサダの演奏を。
 ルイサダはこのCDで、サティのほかのピアノ曲の演奏の間にヴェクサシオンを数分ずつ演奏していた、それはまるで幕あいのBGMのようである。
 つまり、ヴェクサシオン→グノシエンヌ第3番→ジムノペディ第1番→ヴェクサシオン→グノシエンヌ第1番→グノシエンヌ第2番→ヴェクサシオン→スポーツと気晴らし→ヴェクサシオン→逃げださせる歌→最後から2番目の思想→ヴェクサシオンというように曲が収録されている。そしてこの扱い方が、聴いてみるとなかなか良いのである。

 1994年録音。グラモフォン(TOWER RECORDS UNIVERSAL VINTAGE COLLECTION)。