連休の中日(ドラゴンズの状況ではなく、中間の日という意味)。
私は前日の柴刈り(芝刈りではない)後の枝の始末に疲れ、妻は特に用事もなく、長男も予定がない。
加えて、私はどこかに出かけたいという気持ちとそばを食べたいという気持ちが融合し、その結果2人とともにそばを食べに出かけることにした。
ネットで近隣を調べると、近隣とは全然言い難いがなんと浦臼町がそばの産地であることがわかった。
“牡丹そば”という品種が栽培されており、今週末(24~25日)には“そば祭り”が開催されるほどの町なんだそうだ。
浦臼は空知管内とはいえ、札幌も含まれる石狩管内と同じ道央圏。なのに私はそのことをちっとも知らなかった。
そもそも私と浦臼町との間にはまったく縁がない。
多分、これまで行ったことがあるのは1~2度だけ。それも車で通過しただけだ。札幌からなら車で1時間以上かかるし、JRなら浦臼まで行く列車は1日6本しかない(しかも直通ではなく石狩当別で乗り換えである)。
まるで「乗るな!」って感じ
ちなみにこの札沼線(通称・学園都市線。なぜ“札沼”かというと、もともとの計画では札幌⇔石狩沼田を結ぶことになっていたから)の終着駅である、浦臼よりさらに先の新十津川まで行く列車(石狩当別⇔新十津川)は1日1往復のみ。始発便が最終便ってもの。
下りは当別発7:45→新十津川着9:28。しかし上り便は新十津川発9:40→当別着11:03.
つまり、朝の下り列車が新十津川に到着し、その12分後に上り便として折り返すのだが、もしJRしか移動手段がない人なら、新十津川に行っても何の用も足せないダイヤだ(おしっこをする時間はあるが)。
1泊2日の行程とならざるを得ないが、泊めてくれる友人・知人、親類がいないとつらい(宿はあるのだろうか?)。もっとも、新十津川から滝川は近いが……
JR北海道が廃止したがっているいくつもの路線のなかに、北海道医療大学⇔新十津川間があるが(輸送密度が北海道でワースト1)、このダイヤじゃ利用せって方が無理だ(北海道医療大学駅は石狩当別より1つ新十津川側の駅で、札幌から医療大学までが電化区間)。
そばの産地なのに、そば屋は2軒のみ
さて、じゃあ浦臼にはそば屋がたくさんあるのかというと、ネットで検索しても出てきたのは2軒だけ。
そのうちの1軒を目指した。
国道275号を北上。
当別町では、先日行った“かばと製麺所”の、この日も長く連なる行列を横目に車を進めた。
目的の店は“わか杉”。
275号線沿いにあった。
浦臼駅もすぐ近く。
駅にはディーゼルカーが停まっていた。
12:14に着いて、折り返し13:21発石狩当別行の列車だ。
数少ない貴重な列車を目にできてラッキーだった(ような気がした)。
こういう店っていいなぁ。美味しいし
“わか杉”は適度な混み方。
大将(?)の「いらっしゃいませ!」という声に迎えられる。
待たされることはなく、私たちは個室になっている小上がりへ案内された(そのあともコンスタントに客-家族連れが主体-が訪れた)。
メニューを見ると“そば屋”であることは間違いないが、ご飯ものも充実。
いずれもリーズナブルな価格設定。
焼酎やウイスキーのボトルキープもできるようで、地元の人たちの夜の社交場にもなっているのだろう。
飲んで、〆にそばって私には理想形。うらやましい。
私はかしわそばと鰹ぶしのおにぎり、妻は天ざる、息子はカツ丼セットを頼む。
ところで鶏肉のことをかしわというが、それを漢字で書くと黄鶏なんだそうだ。
かしわというのは日本在来種である羽が褐色のニワトリのことで(だから黄鶏)、それが今では鶏肉のことを総じてかしわと呼ぶようになったらしい。
壁には“牡丹そば”についての説明が書かれた張り紙が。
伊達のびっくりドンキーでハンバーグを食べたのは盆明けのことだった。
どうでもいいことだけど……
妻が頼んだ天ざるの天ぷらは、仰々しく厚い衣をまとったものではなく、実直で家庭的な感じのもの。
一口分け与えてもらった麺はひじょうにコシが強く、風味も力強いもの。良いそばだ。つゆはやや甘めで私の好み。
息子が頼んだかつ丼セットは、丼とそばそれぞれがハーフサイズ。
もちろん味見させてくれるわけがない。
私が頼んだかしわそば。
かしわと薬味の小口切りのネギ以外にも、うまいぐあいに火が通ったねぎが入っている。このねぎの甘みが、これまた斬新的に美味しい。ほかにワカメと水菜が。
メニューに載っていた写真を見たときも思ったが、その姿はラーメンのよう。
あるいはまた、山形で食べた鶏中華を思い起こさせたが、もちろんこちらはまぎれもなくそば。

つゆも薄すぎず濃すぎずで、だしがきいている。
涙が出るほど美味しいという突出したものではないが、庶民的な感じから逸脱しないぎりぎりのところでの匠の味って感じで、とても美味しいそばだった。
なお、おにぎりも塩加減が絶妙。鮭があればもっとうれしかったのに……
あぁ、“わか杉”で食べすぎ。
でも、反省するこちょなんてなく、大満足。
接客も家庭的で心地よかった。
以上の話とあまり関係ないが、杉谷昭子が弾く、ベートーヴェンのピアノ協奏曲全集(vn協奏曲を作曲者自身がp協奏曲に編曲したものも収録。オスカンプ指揮ベルリン交響楽団。1993-94年録音。ブリリアント・クラシックス)を。
浦臼では神内ファームがあか牛を飼育している。
“わか杉”にも神内和牛あか牛そばっていうのがメニューにあった。
牛肉とそばって、どんな感じになるのだろう?
でも、そう考えてみれば浦臼って、ワインやメロンもあるし、けっこう名産品がある町なんだな。