人目につきにくいところに咲く、可憐な花のよう
このところベートーヴェン(Ludwig van Beethoven 1770-1827 ドイツ)の交響曲第1番ハ長調Op.21(1799-1800)を繰り返し聴いている。
先月末に手にしたモントゥーによる交響曲全集の中の1枚だ。オーケストラはウィーン・フィル。
ベートーヴェンはそれまでの作曲家と異なり、自分の書く音楽は“芸術作品”であり使い捨てのものではないという立場に立った。
とはいえ、彼の交響曲第1番と第2番は初期作品にあたり、先輩であるハイドンやモーツァルトなどからの影響が強く、第3番(「英雄」)になってピグモンがガラモンになったような大変貌を遂げるのである。ピグモンとガラモンの場合は別な種の生物だが……
そういうこともあって、彼の第1番や第2番を繰り返し何度も聴くことなど、いやそもそも繰り返し聴きたいと欲することがいままでなかったが、このモントゥーの演奏は不思議な引力をもっていて、あまり目立つ方ではないけど実はかわいらしい女の子に似た存在。その可憐な女の子にストーカー行為を繰り返すおじさんのように、私は聴きかえしているのである。
それも、個人的には第1番より第2番の方が曲としては好きなはずなのに、モントゥーの演奏では(どちらもいいんだけど)第1番により引かれる。
じらさないで……
モントゥーのアプローチは(ずっと前から聴いていた彼の)第6番や第8番と同じで、しっかりしているのにやわらかくい。しかしこの時代の主流だったロマン派風の過剰な味付けなど一切なく、素材を生かした旬の料理みたいな味わいになっている。
聴くたびに自分も優しいヒトになったような気になる。
それと、第1番の第4楽章は序奏で、主題を披露しようか、いやそう簡単には露わにしないぞっというじらしがあるが、モントゥーの演奏では、これまた「は、は、早く露わになってくれっ!はぁはぁ……」みたいな感じが強くする。ワタシだけかもしれないが……
いずれにしろ、第1番、そして第2番(こちらのオーケストラはロンドン交響楽団)で、これだけ引きつけられる演奏に私はこれまで出会ったことがなかった。
1960年録音。デッカ。
店内も、松前出身という店員の女の子も活気がある
で、道南農林水産部に行って来た。水曜日に。
あの山林は誰のものなのか?とか、鮭を生で食うと寄生虫で腹が痛くなるのか?といった問い合わせをするためではない。
道南農林水産部は役所ではないのだ。ここに紹介したように多くの人が集まり道南の海や山の幸を口にし、喉つまり防止のため飲み物も飲みながらミーティングをする場なのである。
平たく言えば、ネオ炉端とあるように、居酒屋である。
私は千葉課長と古代課長と一緒に行ったわけだが、早い時間にいったおかげで難なく入れたが、その後はすっかりいっぱいになり、あちこちで熱のこもった論議、協議がなされていた。これでサブちゃんの歌さえ流れていなかったら、ディベート大会会場と間違える人もいないでもないかもしれない。
私たちは、かすべのザンギ、ちょっとだけいくら(少しだけならHow much?という意味ではない)、とろける室蘭焼き鳥、北海道ポテトサラダなどを頼んだが、まあまあ道産子としても及第点をつけられるものだった。
ただし、イクラは粒が小さめだったし、室蘭焼き鳥はここの売りのとおりとろける柔らかさだった(角煮のように)が、室蘭の鉄鋼マンが鋼のような歯で食らいつくのが室蘭焼き鳥であり(って、勝手な妄想だが)、もっと薄っぺらで、薄っぺらなくせに噛みごたえ十分の硬い肉でないと、どうも室蘭焼き鳥って感じがしなかった(今回は注文しなかったが、この店の“豚精”が本来の室蘭焼き鳥なのかもしれない)。
この店、距離は離れているが、つぼ八の強力なライバルになる可能性はある。