演奏会から一夜明け……
土曜日。
イタリアの超有名重量級音楽であるヴェルディのレクイエムをKitaraで生で聴いたわけだが、その後帰宅してからはまったくもってイタリア的じゃない時間を過ごした。
つまり夕食はスパゲティでもピザでもなく、しゃぶしゃぶ。
昨日の朝食もカプレーゼとかリゾットではなく、たらことか玉子焼きとかなめこのみそ汁。
昼は都市間高速バスの中でおにぎり。
夕食は自宅から持ち帰ったおかず類に加え、スーパーで買った韓国産のマグロの刺身。中国産よりはいいだろうとこっちを選んだ。
刺身はあまり好きではないが、たまにEPAだかDHAだかDHCだかをとらないと身体に悪いと思い、輸入前にどんなことされてるか怪しい気がして、もしかしたら食べるとむしろ身体に悪いかもしれないかと思ったものの、悪さの度合いを天秤にかけた結果、結論が出ないままこの刺身を買ったのだった。
このように、まぎれもなく非イタリア的な生活だったわけ。少なくとも食に関しては。
いや、食生活だけではない。
クラシック音楽鑑賞と並ぶ私のもう一つの趣味。バラの枝で打たれること!、じゃなくてバラを愛おしく育てることも、イタリアとは関わりがない。
イタリアで品種改良されたバラってあまり聞いたことがないのだ。
フランスやイギリス、ドイツやアメリカ、そして日本はあるが、イタリア産は少なくとも自分の庭で育てたことはないと思う。
このかわいいバラはエリドゥ バビロン。
2008年にオランダで作出された品種。やっぱりイタリアと関係ない。
そんなわけで、非イタリア的朝食の前後のガーデニング作業でも非イタリア度100%。
イタリアなんて行ったことないわと訴える(ように思えなくもない)バラたちの花柄を摘み、悪事を働くご当地生れの虫を殺虫剤で駆除し、体を蝕む感染経路不明の病原菌を消滅させるために殺菌剤をかけた。
そのあとは昼に札幌を出る高速バスに乗って帯広へと戻ってきたが、確率的に当然の結果として車内にイタリア人観光客はおらず(外人そのものがいない)、じゃあせめて「イタリア」でも聴いてやろうじゃないかと思い立った(かなりウソくさい展開だが……。いや正直に話そう。バスのなかでは伊福部昭とマーラーを聴いた)。
にしても、なぜここまで自分がイタリア(にこだわる)・モードになっているのか不思議だった。
唯一考えられるのは、減量のためにここしばらくは大好きなスパゲティ・ボロネーゼを食べてないせいだと思う。
ドイツ人によるイタリア旅行の思い出
メンデルスゾーン(Felix Mendelssohn-Bartholdy 1809-47 ドイツ)の交響曲第4番イ長調Op.90「イタリア(Italian)」(1833/改訂'37.1851出版)。
でもこの曲、ドイツ人作曲家がイタリアの外からやって来てその印象を音楽にしたものだ。そんなこと、あらためてここで説明されたくないだろうけど。
メンデルスゾーンはイタリア旅行の印象からこの曲を書いたが、同じく旅の印象から書いた交響曲第3番イ短調「スコットランド」とは曲調がずいぶんと違う。
そりゃそうだろう。
「スコットランド」の方は、その昔殺害事件があった場所を見学して着想したのだから。この件については「私は高血圧だが若年ではない♪クレンペラーのメンデルスゾーン/Sym3」を読んでいただけると、私のスコッチの飲みもはかがいくというものだ。
メンデルスゾーンはユダヤ系ドイツ人だった。
そして、同じくユダヤ系ドイツ人だったクレンペラーが振った「イタリア」が、またすばらしい演奏だ。
同じだから共感度が高い!というのは、かなりのこじつけだが……
第3番「スコットランド」の演奏と同様、スケールの大きな演奏。しかし、決して鈍重にならない。
快活だ。けど、軽くならない。
それが、この曲にある種の威厳を与えている。
「イタリア」も軽けりゃいいってものではない。軽いにこしたことがないのはランドセルと女性の尻だ(←う、うそです!決してそんなこと思ってはおりません!)。
まさに歴史的名盤。
にしても、自分が生まれるより前に演奏され録音されたものに、新鮮味と感動を覚えるなんて、なんだか不思議。奇妙な世界。
オケはもちろんフィルハーモニア管弦楽団。
ワーナー(原盤EMI)。
なお、この曲では1833/34改訂稿での演奏が収録されているガーディナー/ウィーン・フィルのCDを聴くこともぜひお薦めしたい(「読後充実度 84ppm のお話」2009年7月14日の記事“野暮ったさが魅力のメンデルスゾーンの「イタリア」改訂稿”で取り上げているので、必要ならご覧いただきたい。えっ?必要ない?そ、そうでしたか……)。
サッカーのワールドカップ中継。CMの前に必ず入るオフィシャル画像(?)、何て歌ってんだかわかんないんですけど……