Tchaikovsky6Sapporo  ボヘミアのベートーヴェン
 このところ人気急上昇のエリシュカが札幌交響楽団を振ったライヴCDから、今日はあまり知られていない作曲家ヴォルジーシェク(Jan Vaclav Vorisek/独名 Johann Hugo Wprzischek 1791-1825 ボヘミア(チェコ)。CDではヴォジーシェクと表記)の作品を。
 2014年4月11日~12日に行なわれた第568回定期演奏会を収録したものだ(メイン・プログラムはチャイコフスキーの交響曲第6番)。

 ヴォルジーシェクは「ボヘミアのベートーヴェン」と呼ばれた人で、プラハ大学で音楽と法学を学んだあとウィーンに移り住み、ピアニストとしても活躍した(ピアノはフンメルに師事した)という。

 しかしながら肺結核のため34歳という若さで他界してしまった。

 ベートーヴェンを崇拝し、またシューベルト(Franz Schubert 1797-1828 オーストリア)と親しく付き合っていた。ヴォルジーシェクはシューベルトの歌曲の旋律から多くを学び、一方でシューベルトはヴォルジーシェクのピアノ曲の手法を学んだという。

 シューベルトはロマン派の開拓者であるが、ヴォルジーシェクは古典派とその後のチェコの国民楽派の橋渡し的存在である。
 交遊のあった2人が共に早世しているのは単なる偶然だろうが、何と言ってよいものか……

  本邦初録音
 定期演奏会で取り上げられたのは交響曲ニ長調Op.24(1821)。ヴォルジーシェクが残した唯一の交響曲で、4楽章から成る。

 崇拝していたベートーヴェンの音楽に似ているが、ベートーヴェンよりもライトなタッチで、ベートーヴェンとシューベルトのミックスジュースのよう。また北国の空気を思わせるような爽やかな作品である。
 どこかで耳にしたことがあるようなメロディーがあちこちに現われ、なんだか他人のような気がしない親しみが持てる。

 この曲を聴くと、今から40年ほど前のことになるが、当時の常任指揮者のシュヴァルツの指揮で札響が初めてレコーディングしたプフィッツナーの小交響曲を連想してしまうのが、これまた不思議だ(このLPのメインはベートーヴェンの「英雄」)。
 どこか通じる雰囲気-そしてまた北国を思わせる何らかの要素-があるのかもしれない。

 レーベルはパスティエル(オフィス ブロウチェク)。これが本作品の本邦初収録のCDとなる。
 上に書いたように、2014年4月に札幌コンサートホールKitaraで行なわれた定期演奏会のライヴ。

 そういえば、シュヴァルツ/札響が録音したプフィッツナーの「小交響曲」は、確か世界初録音だったはずだ。
 なんだか、大げさに言うと、歴史は繰り返すってやつ?
 でも、あのレコード、果たしてどのくらい売れたのだろう……

 さて、今日私は北国へ帰るのだが、どうも天候が……

 今日のタイトル、ベトベト、ネトネトみたいなものを想像しちゃいそうで、ちょっぴり反省している。