けっこうなブルブル
この連休は、ついぞこの冬に向けての準備を完遂した。
私はこう見えても、重い腰を上げるのに大いなる精神的葛藤にさいなまれるものの、いったん動き出すと昼食の時間が5分や10分遅れても構わないほど作業に没頭してしまうタイプなのだ。
なお、読者の方々は実際の私の姿を知らないだろうから誤解なきよう断わっておくが、重い腰というのは決して私の腰が丸太のように太く大きいという意味ではなく、あくまで文学的比喩である。実際の姿は断定的に美しいと言える。
肌にしたって青年時代のようなハリや潤いはないが、でも、爬虫類のような肌にはなっていない。
話が一挙に飛ぶが今回の作業中、世の中に絶望した人が衝動的につけるような傷が、私の場合は世の中に絶望していないにもかかわらず、そして気づかぬうちにできてしまっていた。
作業中に木の枝かバラのトゲでやっちまったに違いない。 しかもガーデニング作業のせいであたりの肌も荒れあれである。
こんな傷を負っていては、世間に誤解されるかもしれないので、さらに誤解されるよう大仰に包帯を巻こうかと思っている。
なお、写真はボケてしまっているが、これは読者のみなさんが生々しい傷を見て衝撃を受けるのを緩和するため、ではなく、本当にピンボケなだけだ。
話を戻す。
今回の作業内容についてだ。
土曜日の午後についてはすでに報告してあるので、日曜日のことを。
日の出とともに作業を開始したら近所に迷惑をかけるし、まだ寒いので、8時よりスタート。
なかなか順調にネットかけは終了。
問題はそのあとの、はらったあとそのままにしておいた庭木の枝の整理。 いよいよ、ようやっと、電動ノコを使う日がきた。
もっとシュワァァァァ~ンと切れるかと思ったら、けっこうな振動が体に来る。ブルブルブルだ。
チェーンソーを日々使うような人がかかる“はくろう病”っていうのを聞いたことがあるが、電動ノコでこうなんだからチェーンソーなら確かに病気にもなるだろうなと思う。
とかなんとか考えながら作業は終了。
結果は写真のとおりだ。
今回の作業でいちばん手こずったこと。
それは切った枝を束ねることだった。
ゴミの収集に当たっては長さや束の径が決められている。で、それはもちろんクリアするようにしたが、この枝たち、束にしようとまとめていると、いいところまでいくとガラガラと崩れてしまう。積み木崩しならぬ枝木崩れだ。
そりゃそうだ。切りそろえたといっても枝が真っ直ぐな棒に変貌するわけではなく、どいつもこいつも根性が曲がった私のように、クネクネしている。だから束ねるために積んで行っても収まりが悪い。
それでもなんとかまとめロープで結ぶ。
これまた困ったもので、ぎっちりとロープで縛ったはずなのに、数秒後には緩む。曲がった枝が自分たちの座りのいいように動くから、すぐに緩むのである。
中央部をがっちり結ぶ。次に左側にロープをかけ縛る。すると中央部がユルユルになっているという具合。
中央、左、右を何度か締め直して、なんとかした。
あー、イライラした。
この日はそのあと、車のワイパーを冬用のものに交換し(前回の反省を踏まえ、フロントガラスにはタオルを置いた)、灯油タンクを点検し(下のような状況なっていないか確認したのだ)、外仕事を終了した。
灯油臭い人がいたら犯人かも
北海道内の、それも道東の某都市に集中して灯油の盗難が相次いでいる。
いわゆる灯油泥棒と呼ばれる悪いやつが暗躍しているわけだ。
北海道以外の人はあまりピンと来ないかもしれないが、冬場に多くの灯油を使う北海道では、屋外に容量が490Lのタンクを設置している家が多い。率は知らないが、ほとんどの家がといってもいいくらいだろう。
泥棒はそこから灯油を抜き取るのである。
だから18Lのポリタンクをちょいと失敬、なんていうものとはスケールが違う。
ではどうやって屋外タンクから抜き取るのか?
どうやら給油しているように見せかけて、逆に抜き取るらしい。
ということは、灯油配送業者のようにタンクローリーを持ってなければならないわけで、となると犯人はそこらへんに暮らしていて表向きは善良な市民に見えるような人間ではないだろう。
「灯油代節約のために、あそこのタンクから抜き取っちゃえ」というような、簡単なものではないのだ。
卸業者が横流しするために、あるいは再販売するためにやっていると考えるのが妥当だろう。
わが家も何年か前に被害にあった。
数日で半分近くまで減っていた。すっかり抜き取られたらボイラーが作動しないのですぐわかる。が、ウチの場合は分かりにくいように残されていたので被害にあった日にちを特定できなかった。
その後、タンクにカギをつけた(給油口に取り付ける、専用のカギが販売されているのだ)。
灯油泥棒のニュース報道で、最後に決まり文句のように言われるのが「被害にあった住人のタンクにはカギがかけられていませんでした」というもの。
でも、カギをつけているタンクの方がはるかに稀だと思う。
ふつうはまさか抜かれるなんて思ってないし……。わが家だって、まさかの被害にあって配送業者さんと相談してつけたわけで……
つい先日も独り暮らしのお年寄りの女性が被害にあったと、ニュースで報道されていた。
気の毒である。
男よ!男が来たわ!
メノッティ(Gian Carlo Menotti 1911-2007 イタリア→アメリカ)のピアノ曲「『泥棒とオールドミス』の主題によるリチェルカーレとトッカータ(Ricercare and Toccata on a theme from "The old maid and the thief")」(1953)。
メノッティが自作の歌劇「泥棒とオールドミス」(1幕のラジオ・オペラ。1939)の中のメロディーを素材にした作品。
オールドミスといっても、ここでの意味は老嬢というもので、会社などにずっと働き続け周囲を仕切る女性に対するやや悪意を含んだ呼称とは違う。
物語の筋は、オールドミスの家に、なかなかのハンサムな物乞いがやってくる。オールドミスのトッドと女中のレティーシャはすっかり彼を気にいってしまい彼を泊めてあげることにするが、さらに1日だけでなく、しばらく彼に滞在してくれと頼む。
何日かして、トッドはあの男が脱獄犯だという噂を耳にする。
恐ろしいが彼に居続けてもらいたい。
あの手この手で彼を留まらせるが、ある日男とレティーシャが家からいなくなり……、というもの。
つまり、オールドミスが気がつかないうちに男と女中がねんごろになってしまったらしい。
この2つの曲の主題が歌劇のどのような場面につけられているかはわからないが、リチェルカーレは憂鬱な重い気分の音楽。またトッカータは運動性の高い音楽である。
コスタンツォのピアノで。
2006年頃の録音。NUOVA ERA。
私が子どものころは「嘘つきは泥棒の始まり」って教えられたものだが、今の世の中なら「嘘つきは詐欺師の始まり」の方が説得力があるかもな。
それにしても、なぜ灯油のタンクは容量は490Lなのかって?
500L以上保管するとなると、危険物取扱者の資格が要るらしいです。
まったく、夜中や留守中ならなかなかわからないですからね。ひどい奴らです。