CROWNINPERIAL  なぜか鮮明に記憶に残る解説者の声
 「それでは、サン=サーンスの戴冠式行進曲をお聴きいただきましょう。演奏はドメニコ・ファンティーニ指揮カラビニエリ吹奏楽団です」


 このカセットテープも何回も聴いた。

 NHK-FMの「ホームコンサート」を録音したこのテープの場合、私は手を抜いて解説者の話までエアチェックしてしまった。
 解説していたのは門馬直美氏だったと思う。


 このテープを処分してしまったあと、20年以上耳にできなかった曲。

 その1つが、このサン=サーンス(Camille Saint-Saens 1835-1921 フランス)の「戴冠式行進曲(Marche du couronnement)」Op.117(1902)である。

  思い出は美しすぎて……?
 つい先日、この作品を含むCDが発売された。
 「20世紀英国戴冠式のための行進曲集~クラウン・インペリアル」である。

 演奏はヒギンズ/ロンドン・シンフォニック・コンサートバンド。

 エアチェックの際、せっかく門馬氏の解説まで録音したのに、記憶に残っているのは冒頭に書いた部分だけ。
 ファンティーニとかカラビニエリという響きが強烈だったのだろう。
 だから、この曲がどのような経緯で書かれたかわからない。が、当CDの表記によると1902年に行なわれたエドワード7世の戴冠式のために作曲されたようだ。

 ファンティーニの演奏は、録音帳の記録によれば演奏時間は8'05"。
 ヒギンズのものは、レットフォード編と記されており、演奏時間は1分半も短い6'35"。


 テンポも記憶に残っているファンティーニのものよりも、ヒギンズのほうがずっと速く、しかも軽くリズミカルである。
 その点で、絢爛豪華な出だしと荘重な中間部だったファンティーニの演奏とはずいぶん印象が異なりちょっぴりがっかりだが、それでもようやくこの曲に再会できたのはうれしい。
 みなさん、いい曲ですよ!


 2013録音。Somm(輸入元:東京エムプラス)。


  重厚長大から軽薄短小へ?
 あのころ私が持っていたのはパイオニアのセントレート・ステレオ(の、いちばん安いグレードのもの)。
 コンポで単売もされていたプリメイン・アンプとチューナーを木の躯体にはめこんだもの(ビスをはずし取り出したところ、シャーシはなかった)。また、レコードプレーヤーは躯体に直接取り付けられていた。


 そのパイオニア(パイオニア・ホームエレクトロニクス)がオンキョーに統合されるそうだ。
 “パイオニア”のブランドは残るそうだが、あのころ憧れの的だったオーディオ・ブランドはことごとく消滅しつつ

あるのがさびしい。


 私が音楽を聴くようになったころは、豊かさの象徴みたいな家具調ステレオはほとんどなくなり、ステレオ再生装置はコンポーネントへと移っていた。

 私もいつかオープンリール・デッキを買い、高級カセット・デッキも買い、ターンテーブルはダイレクト・ドライブのもの、アンプはプリとメインのセパレート、チューナーはデジタルの製品をそろえたい。スピーカーは3ウェイ4スピーカーがいい。ウーファーは最低30cmの径は欲しい。将来家を建てるときは20畳以上のリスニングルームを作り……などと、ほとんど妄想ともいえることをいつも考えていたものだ。

 Lo-D(日立)やOTTO(シャープ)、オプトニカ(シャープ)はもともとマイナーなブランドだったが、高級カセットデッキのメーカーのナカミチや、オープンリールデッキのAKAIがなくなるなんて思わなかったし、AIWAがaiwaになったときにはがっかりした。
 テクニクスのCMの威厳がありそうな歌はいつしか聞かなくなった。
 トリオはケンウッドになったが、サンスイは消えた。
 デンオンはデノンになって頑張っている。ダイヤトーン(三菱)のスピーカーにあこがれたものだが、いまはどうなんだろう?
 逆に、オーディオ機器では後発のYAMAHAがこんなに奮闘するとは想像できなかった。
 そしてパイオニアである。開拓者は力尽きてしまった。

 まっ、カセットテープがMDになり、そのMDも今やなくなった。LPからCDに変わったが、いまやダウンロードが主流になりつつある。
 かつて重厚長大が憧れの的だったのが、すっかりそうではなくなった。
 時代の流れってすごい。

 私はといえば、どうも昔の思い込みが抜けず、相変わらず大きな機械ほど良い音が出るという考えが捨てきれない。

 が、まず自分の家を建てたときに現実に直面。
 20畳のリスニングルーム?
 とんでもない!
 私の専用スペースは2階の2畳ほどの納戸だけだ。

 オープンリールなんてとっくにこの世から消えたし、録音媒体はメモリーになりつつある。
 大きなアンプ。高くて買えない。重くて持てない。
 スピーカーもそうだ。

 ついでにこれから先は私の耳も遠くなっていくに違いない。

 ※ お詫びと訂正

  昨日の記事で私が早めにパブロンを飲んだと書いたが、よくビンを見たらエスタックだった。
  謝る。ゴメン。