BeethovenSchenck  感無量的に未練なんかないさ!
 なんだか次々と予定が入って来て、ついに12月にも及んできた。

 12月となると、もうOCNのブログ人サービスがこの世から消滅しているわけで、そう考えると感無量だ……っていうようなことが日本語の誤った使い方である。

 先日新聞に載っていた国語世論調査の結果だが、“世間ずれ”については私も意味を間違って理解していた。
 常識からずれているのではなく、世間を渡ってずる賢くなっているのが正しいということだが、どっちにしろ私の場合は世間ずれしていないと言える。本人が言うのだから間違いない。


 レンジを使うことを「チンする」って使う人は9割に上るというのも驚きだ。なんでみんなそんな卑猥な言葉を平気で使うのだろう?
 コンビニで店員さんに「チンしますか?」って言われたら、ワタシどうしよう……
 そういえば、ある初老の女性が「エレックさんする」と言うのを耳にしたことがあるが、これにはばほとんど大爆笑した。もちろん心の中でだけど。


 横道にそれるが、こんな話を聞いたこともある。
 百貨店の地下食品売り場、ナウい言葉でいうとデパチカで、おばあさんが店員に「おでんはどこですか?」と尋ねた。親切な店員は惣菜売り場を教えたそうだが、そのおばあさんは公衆電話を探していたんだとさ!
 公衆電話自体、あまり見かけなくなった現在、この笑い話もほとんど風化しているが……


 そういえば、私がクラシック音楽を聴きはじめたとき、ちょいと詳しい人にあーだこーだ聞かれ、そのころベートーヴェンの「運命」や「田園」に罹患していたので、そんなことを話したら、「割と知ってるん?」と言われ、よく意味はわからなかったものの、なんとなく褒められているのことは間違いないと悦に入っていたら、「ワルトシュタイン」の聞き間違いだった。
 が、あの人、なんで唐突に「ワルトシュタイン」と発したのか、まったくもって謎である。


  いえ、写真もきちんとしてはいます
 ベートーヴェン(Ludwig van Beethoven 1770-1827 ドイツ)のピアノ・ソナタ第21番ハ長調Op.53「ワルトシュタイン(Waldstein)」(1803)。

 私はあまり熱心なピアノ・ソナタ・ファンではないが、この曲のように冒頭からユニークで、また激しいのを聴くと、ベートーヴェンのピアノ・ソナタってすごいなぁ、すてきだなぁ、と感嘆の念を抑えられない(←日本語あってる?)。

 第21番はベートーヴェンの中期のピアノ・ソナタの中では、第23番「熱情」とともに最重要作品と位置づけられている。

 なお、ワルトシュタインというのはベートーヴェンがこの曲を献呈した伯爵の名である。 

 この曲が書かれた1803年、ベートーヴェンはピアノ製作者のエラールからグランド・ピアノを贈られた。
 広い音域、豊かな低音と和音、従来の膝ペダルではない4本のペダル。この新しいピアノの特性を生かして作り上げられたのがこのソナタ。

 今日はシェンクのピアノ演奏で。

 シェンクというピアニストを知らない人も多いだろうが、このCDでまず注目すべきはジャケットデザインである。
 確かにこういう意欲に満ちていないものは少なからず見かけるが、いかにも廉価盤、「まっ、こんなもんでいいか」的なものである。これって生花なのか?造花っぽく見えるが。
  しかも、この得も言われぬほの暗さ。
 なんかテンションが上がらない。〇〇を偲んでって雰囲気だ。

 あっ、書いてあった。セーヴル陶器美術館の“庭の花のブーケ”だって、これ。

 しかしである。
 中身はきらびやかに輝く円盤、じゃなく、なかなかの演奏なのだ。
 テクニックは確かなようだし、じつにしっかりしている。地味かもしれないが、ホンモノって感じがする。

 2003年録音。ワーナー。