私の心に瑟瑟と風が吹く?
今日は仕事に行かねばならない。午前中の半日だけだが……
そのあと車で自宅に帰る。
そんなことはどうでもいいとして、今日も今が旬の伊福部昭(Ifukube,Akira 1914-2006 北海道)の作品。
最近リリースされた「伊福部昭 生誕百年記念アルバム」。
先日の記事で、この中から「シレトコ半島の漁夫の歌」を取り上げたが、今日はギター独奏曲の「箜篌歌(Aria Concertata Kugo)」(1969)。
演奏はこの曲の初演者である渡辺範彦(1947-2004)。
渡辺は宮崎県出身のクラシックギタリスト。この録音は1969年10月16日に行なわれているので、初演(5月27日)の5か月後というスピードでスタジオ録音が実現したわけだ。
このCDのライナーノーツで横溝亮一(アコーディオン奏者の横森良造と勘違いしないように←誰それ?知らないよって?)は次のように書いている。
正倉院御物として、2つの箜篌(くこ)の残欠が伝えられている。伝来当初は雅楽にも用いられた琴、瑟類(しつるい)の楽器で、西欧風にいえばハープ族に属する。紀元前8世紀ごろ、古代アッシリアに発したと推定されており、ずい分長い歴史を持つ楽器である。臥箜篌は現在の箏に似ており、鳳首箜篌は竪型で、ハープに近似している。我が国では天平時代に使われたと思われる。おそらく楽器だけでなく、歌との共演も行なわれたであろう。形態からして、筝の音質、音色に近いと想像されるが、この「箜篌歌」も、その古雅な趣きをギターの上に再現している。アダージョ・トランキラメンテのゆるやかなテンポで始まり、6連のアルペジオが静謐な雰囲気をかもし出す。この序奏といえる部分からテンポが転じて、速い分散和音の流れとなり、その中にひなびた旋律が縫いこまれる。
副題に「アリア・コンチェルタータ」という副題がついているように、メロディ(アリア)が伴奏部と絡みながら協奏的に進んでいく。
貴重な音源であるが、古い録音のため(といっても、ステレオ時代になって10年ほど経っているのだが)、細かく織りなされる音の粒が明確ではない。
1969年録音。NHK-CD(キング)。
音の広がり、はっきりとした絡み合いを堪能したいのなら(多くの人がそれを望んでいると思うが)、西村弘盤をお薦めする。
1985年録音。フォンテック。
ところで“瑟”という漢字、なんか好きだ。今までの人生の中で自主的に使ったことはないけど。
この字の意味は「琴に似た大きな楽器」で、漢和辞典に載っている熟語としては、
【瑟琴】①大琴と琴。②夫婦の仲がよいこと。琴瑟。
【瑟瑟】①寂しく吹く風の音の形容。②ものさびしい色。
がある。
いずれもふだんは見かけない言葉だ。瑟瑟なんて、絵文字みたいにも見える。
50日ほど「おあずけっ!」
ところで、伊福部ファンにとって10月22日はたまらない日になるだろう。たぶん。
キングから3枚の新録音がリリースされる予定なのだ。予定は未定だが、予定通りに、いや予定が早まることを願っている。
収録曲についてはまだ公表されていないが、札響の演奏については5月30~31日に行なわれた第569回定期演奏会のライヴに間違いない。
このときの私のコーフンをCDを聴いて、ぜひ共有していただきたい。
にしても「くこ」がどうして、この作品名では「くご」になったのかな……
いや、真剣に悩んではいないけど。
なお、伊福部昭の2歳年上の次兄・勲は学生のころギターを弾いていた。
ギターのための作品を書いたのは、そういう影響(思い出)があったのだろうと、私は思っている。
ワクワクしますよね。早まらないかな。予約しなきゃ。
札響定期でのタプカーラもすごかったですよ。